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愛情過多

病銀→新
失恋新八、短文











※           ※

「だから言ったじゃんー俺にしとけってー」
「えっぐひっぐ・・・だって・・」
「あーあもうー、ほら鼻拭けって」
「むぎゅうっ・・・・うっぐ・・ひっぐ・・・・ふぐー・・・」

 鼻をかんでもずるずる鼻をすすり嗚咽する新八のぼろぼろに濡れた顔の瞼に、小さな口づけを落とす。
 新八をこんな目に合わせた奴を殴り殺したかったが、それ以上に大声で叫びたいほど感謝していた。
 
 ありがとう、ありがとう、ありがとう・・・・

 腕の中の新八をもう二度と解放するつもりはない。
 新八がまた他の誰かに心を奪われるような事などないように。
「お前には銀さんがずっと傍にいてやっから」

 俺の胸に顔を埋めていた新八がそっと俺を仰ぎ見る。
 痛々しいほど涙に濡れた瞳が俺を映す。

 潤んだ瞳に優しく微笑みかけて、優しい言葉を紡ぐ。
 お決まりの場面、計算された場面。
 ようやくこの瞬間が巡ってきた。

 丁寧に壊れ物を扱うが如く新八の真っ赤に染まった頬に手で撫でる。
 震える柔らかな唇に親指でなぞり顔を近づけば、新八は俺に全て身を任せるように瞼を閉じた。

 歓喜に満ち溢れる俺。
 背筋がゾクゾクする。
 
 待ち望んだ唇の柔らかさと甘さを十分に味わいながら、物陰から刺し殺す視線を向ける主に俺は今一度の感謝とこの世の幸福を云ってやりたい。
 ざまあみろ。

「愛してるよ新八・・・・」

 
 お前の自由を奪う代理に、お前の全てを愛してあげる。
 誰よりも、誰よりも

 だから新八は、俺に愛されて。


 俺を愛して。




  







※         ※
>>postman お題より
愛した分だけ、愛されたい
   

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