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銀新♀
ちょっと可哀想な銀さん
※ ※
押しかけ女房ならぬ『押しかけ助手』が来て以来、俺の生活に多少の変化があった。
まず、万事屋の中が小奇麗になった。
やっぱ家の中に女の子がいると違ってくるもんだ。
毎日せっせと掃除機やたすきかけたり雑巾で綺麗に拭いたり、俺がせっかく集めた愛読書に紐で縛っていつの間にかトイレットペーパーと取り替えていたり(これにはさすがの俺も怒ったがそれ以上に奴の無言の圧力に負けを余儀なくされた。ちくしょー)
毎日作ってくれる暖かなご飯には毎回頭が下がる気持ちになる。
地味で質素な味付けが何故かクセになり、外で酒を飲んでいても時折無性にあいつの味噌汁が飲みたくなるのだ。
神楽が来て定春が来てからは、この味が坂田家の味になった。
世話をしてやるつもりが、世話をされているようじゃ俺の顔が立たねー
なので俺にしてやれる事で新の負担を軽くしてやろうと思い、毎日のごみ捨てとか買い物時に原付だしてやったりなどの小さな事を少しずつ、後は馴れねーけど時々・・・本当にたまにだけどおっさんは恥を捨て勇気振り絞って「いつもありがとうな」とか「美味いよ」とか言ったりしてる。
コレ言うと、あいつ嬉しそうに笑ってくれるし俺も新の笑顔を見ると嬉しくなるから。
あれ?けっこう俺たち上手くいってね?てか、俺助手をもらったんだよね?嫁もらったわけじゃないよね?
良いことばかりじゃなくて、悪いことや喧嘩もしたりするけど、なんやかんやで俺も新も今の生活に居心地良さを感じちゃったりしているわけよ。
だから・・・そう―――不満なんて・・・ない。
・・・・いやいや、うん。
まじで俺はあいつにけっこう感謝してるのよ?
柄じゃねーけど、信じてもいねー神さまに感謝しちゃったり、あの時あのファミレスにパフェ食いに行った俺グッジョブ!って俺思ってるのよ。
不満なんて・・・・不満なんて・・・・その――――一個だけあったりなかったり・・・なんつって。
新が来て以来、俺たちは案外喧嘩しながらも上手くやってる。
それはただ仲が良いだけじゃなくて、気ぃつかいの新が折れるところは折れ諦めちゃいけない時は正面からぶつかってくる奴だからだ。
俺に逃げ場所なんて与えてくれない、でも追いつめるんじゃない。小さな手を差し伸べてくれる。
そんな新だから俺も今ここにいる。
だから―――。
別にいつの間にか便所の隅に設置されていたBOX、通称“汚物入れ”についてとやかく言うつもりなんて無い。
一体いつの間に置いてあったのか気づかなかったが、新が来た始め頃にはもう置いてあった。
普段男物の袴とか木刀とつっこみを振りかざしているダメガネも、やっぱり女の子である。
今まで女の従業員がいた頃もあったがそれも短期だけだったから、長い男の一人暮らしにはこうゆうものとはぶっちゃけ縁のないもんだった。
おそらく100均で購入してきたであろう小物しか入らなそうな蓋付きのプラスチック素材のBOXは、目立たない無透明の水色で統一されている。
しかしいくら目立たぬよう配慮された色も、便所に入りチャックを下げいざっ――って時にふと下に目線をやると、隅に慎ましく置かれたこのBOXを見た時の俺の気持ちが分かってくれるだろうか?
毎月体調悪そうに便所に行く新の姿を見ている俺としては、このBOXを使用している新をイメージするだけで非常に居た堪れなくなるってもんだ。
この間なんて、予備のトイレットペーパーが置かれた便所の戸棚に新が忘れてった露利英が置いてあった。
こんな時、俺は一体どうすればいい――?
露利英片手に「新ー忘れもんだぞー」って言って新と神楽から蔑んだ視線を浴びればいいのか、それとも男として意識されていない現実に嘆けばいいのか。
いつかは神楽もあのBOXを使う日がくるのか・・・・そう思うと、心のどこかで娘は結婚するまで処女だと信じている世の父親のような心情を神楽に向けていた俺としては、あのハゲ親父のことを笑えなくなる。
「銀ちゃーん」
「あん?なんだよ」
「便所に入った後、便器上げたままにしないでほしいアル」
「あっそれ私も思ってた!なんか、ちょっと・・・・・あれだよね」
「ぶっちゃけ、嫌アルきもいアル」
―――――泣いていい?
※ ※
>>postman お題より
女の子ネタとしては書いてみたかったネタ
言葉を濁す若い嫁に、はっきり言っちゃう娘の間に挟まれるお父さんの図。
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