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メイビー・アイ・ラブユー

何番煎じかのもしも新八が真選組だったら~
原作第八訓のあれを銀→新で











※        ※





「新八くゥゥゥゥゥん!!結婚してくれェェェェェ!!!」

 
 志村家の塀の外から、電柱にしがみつく若い白髪男が今日もしつこく愛を叫んでいた。
 男の近くからはおまわりさんの制止の声や野次馬化したご近所さんの声も聞こえ、志村新八御年十六歳(男)は痛む頭を抱え込んだ。

 なぜこうなった。

 志村少年の丸い頭に何度も反復する疑問に対し、残念ならが明確な答えが湧き出てこなかった。



 さかのぼること数日前の深夜、姉の働くスナックにて若い男が酷く酒に酔い沈没している所を姉に呼び出された新八が自宅まで送り届けることになった。
 辛い勤務帰りでもあったがこれも職務の為姉の為。
 新八は千鳥足の男の片腕を肩に乗せ引きずるように深夜の歌舞伎町を歩く。
 あのスナックでここまで飲まされるとは、男の間抜けさと女の狡賢さに歌舞伎町という町の男女の駆け引きめいた雰囲気にあてられた新八は、飲んでもない酒に酔った気分を一片に味わいつつ男の空っぽになったであろう懐の心配もした。
 俯きなにやらぶつぶつ呻く男に話しかける。
「大丈夫ですか?」
「うーん・・・苦しぃ、もう酒なんて飲まねー。決めた俺は明日から禁酒する。誰に誓おう、そうだお天気お姉さんに誓おう」
「お天気お姉さんってひょっとして結野アナですか?ファンなんですね、僕も好きだな」
「結野アナいいよなー、あ~あ俺と結婚してくんないかな」
「それはまた高望みですね。坂田さんはあーゆう女性がタイプなんですか」
「いやどっちかというとボンキュッボンなセクシーなお姉さんがいいかな」
「ボンキュボンって今時古いですね」
「うるせーな。でもなァ、なんでかマジになるのはその逆が多いんだよな」
「へー、可愛いらしい女性とか?」
「そーそ。んで家庭的で奥ゆかしくて、派手じゃないのになんでか凛とした綺麗なとこがあったり・・・あーちくしょー結婚してえな、もしくは彼女ほしーな」
「坂田さんちゃんとしてればかっこよく見える(と思う)んだから、すぐに良い人見つかりますよ」
「でもなァなんでかモテねーんだよ。やっぱ天パか。天パだからか」
「いや天パ関係ないんじゃ」
「どーせ俺なんて天パだしさァ。女にモテるわけないんだよ」
「どんだけ髪にコンプレックス持ってるんですか。いいじゃないですか天パ。それもチャーミングポイントで可愛いって言ってくれる人がいるかも知れませんよ」
「じゃあ聞くけどさァ。君の彼氏がさァ、天パだったらどーする?」
「いやなんで彼氏?僕の場合彼女なんじゃない?まいいか。そうですね・・・」 
 新八はゆっくりと呼吸をし、今ある己の言葉をこの酔っ払い天パ男に聞こえるように微笑みながら言った。

「天パごと愛します」

 その新八の言葉に項垂れていた坂田は、ゆっくり顔をあげた。
 信じられない気持ちで一杯であった。けれど、どうしようもない己を受け入れられた気分でもあった。
 こんな気持ち、初めてである。
 坂田の脳裏に赤ん坊を抱いた美しい聖母の姿と新八の美しい微笑み姿が合わさった。

 マリア・・・・
 全てを慈しみ、愛を捧げる尊い不浄の光―――まるで聖母マリアだ


 その後の坂田の行動は言うまでもない。
 新八の鼻フックデストロイヤーを受けてもなお、坂田は何度でも蘇りそして新八に歌舞伎町の中心で愛を叫ぶ。

 そして現在、坂田の求婚はしつこさを超え一種の犯罪行為と化し
いよいよとなったら鬼の異名を持つ上司に泣きつくしかないかなァと、姉が投げつけた灰皿をまともに顔面に受け地面に落ちていく坂田を眺めながら新八は思った。
 




 
※        ※
>>Dear you  お題
SKTをSTKにしてすんませn

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