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3Z銀パチ
*志村姉妹は血を吸うアレ
*エロくしようと頑張ったけどこうなった。
※ ※
――喉が渇いた
むせ返る熱気と太陽の熱さに焦げてしまいそうだった。 額から滴る汗を制服のスカートのポケットから取り出したハンカチで拭い、八恵は喉の渇きに意識を朦朧とさせていた。
喉を潤したい。
喉が渇く。
今欲しくて堪らないモノが、今此処には無いことに喪失感が八恵の中で広がっていく。
こんなにも喉が渇いたのは久しぶりだった。
学校へ着けばこの喪失感も満足に満たされるだろうと、八恵は無理に意識を変え、立ち止まっていた足を一歩踏み出した。
「うおーいっ志村妹ー!」
呼ばれた声に振り向けば、夏空に似合う白い原付バイクが目に飛び込んでくる。
気の抜けた声に覇気は無く、こちらの気を脱力させるような間延びした低い声の男は八恵の元でバイクを亭車すると紅い宝石のような瞳を眠たげに瞼で半分隠し、白いヘルメットの下から汗を垂らしながら暑そうに八重に話しかけた。
「何おまえ、早くね?」
「おはようございます、坂田先生。私、今日は日直なんです」
「真面目だねーお前。そんなんだから毎月半分以上は日直押し付けられんだよ」
「押し付けてる張本人がソレ言いますかっ」
派手なピンクのシャツに真っ赤なネクタイを緩めに結んでいるその姿からは、おおよそ誰もこの男が学校の先生だなんて考えられないだろう。
八恵はダルそうにしている坂田にため息を零した。
「乗れよ。ついでだし」
「・・・ありがとう、ございます」
自分が被っていた白いヘルメットを八恵に押し付け、後部座席を指で示す。
思わずどもってしまったのは、(乗せてくれないかなぁ)と心の中で甘えていた気持ちを見透かされてしまったのかとドギマギしたから。
坂田はそんな八恵の心情を察することもなく、不思議そうに見つめ前を向いた。
八恵がちゃんと乗るのを待ってくれている広い背中に制服越しに身体を押し付け、慣れた風に難なく後部座席に座った。
熱が籠っているシャツが一瞬だけ動揺したのを、八恵は気づかないふりをした。
□
学校指定の教員用駐車置場につくと、被っていたヘルメットを脱ごうと頭に手を添えるが、それよりも早くに坂田が八恵の顎下に締め付けているヘルメットのベルトを自ら解いた。
長い指が丁寧に解いていく。
近くなった坂田の顔をそっと覗いた。
すべてにヤル気が出せず、全身からダルさを表しているこの男の、この瞬間が八恵は人生の中で一番好きな瞬間だった。
嬉しいけれど、学校の敷地内でコレはいかがなものかと思ってもしまう。
ヘルメットまで脱がせてくれた坂田に、八恵は笑顔でお礼を言った。
乱れた髪を簡単に手で直し、バイクにカギを掛けている坂田の頬に軽く口づけると、目をひん剥き「・・・なっ!?」と言葉にならない心の動揺と赤く染まった顔を向けてくる坂田に微笑んだ。
そして、目的だった坂田の口唇に自分のを押し付ける。
坂田がどんなに動揺しているかは、唇越しでも伝わってくる。
朝早い、人気の無い校舎裏であろうとも互いの立場を考えれば容易い。
坂田の唇の感触と熱を感じながらも、もしも肩を押しやられたらショックだと少しばかり勝手に傷ついていた。
――喉が渇いていた。
潤いを求め、坂田の首に両手を絡め、口づけを深めた。
「・・・んぅ、・・・・・ぁ・・・・ん、ん・・・・・っ」
八恵の甘い息遣いと、ぐちゅぐちゅと水が擦り合う音が聴こえてくる時間はそう掛からなかった。
坂田の彷徨っていた手は、八恵の華奢な肩に添えられることはなく細い肉付きの薄い腰に回されていた。
ちゃっかりもう片方の手が八恵の制服の中に忍び込んでいる位には、この男も大概であろう。
外からはあまり見えないように、小さな駐車置場の奥に押しやられ身体の大きな坂田に八恵の姿は隠される。
駐車置場の中をのぞかない限り、坂田の背中を抱きしめている白くて細い両腕と彼の白いシャツを握りしめている小さな両手に気づかない限りは。
二人だけの空間――熱い口づけを交し合う男と女の姿。
八恵が逃げないようにきつく抱きしめ、夢中で八恵の可憐な唇と妖艶な舌をしゃぶる坂田の熱情に意識を放浪しながら瞼をそっと開いた。
綺麗な紅い瞳がきつく閉じられているのが、少し残念。
教壇の上ではけして見せてくれないこの表情が堪らない。
互いに滴る汗は夏の暑さだけではないことが、八恵の気持ちを昂ぶらせた。
少ない空気を得ようとするわずかな動作さえも、坂田は許さず八恵をさらに閉じ込めようと力強く覆いかぶさる。
さすがにこんな所で押し倒されはしないだろうと、八恵を内心冷や冷やさせた。
八恵のささやかな誘いに、男としてのスイッチを押された坂田は教師の面を剥ぎ取り、興奮しながら息を荒くし 八恵の唇を離さない。セーラー服の背中に回された坂田の腕の熱い温度が八恵に伝えてくる。
腕はしきりに八恵の肢体を求めるように動き、長いスカートで隠された真っ白な肌の太ももを上へとなぞり、八恵の素肌をぞくぞくさせた。
スカートが捲り上がり、熱く昂ぶった下半身を押し付けてくる。坂田の求めるモノが、これだけで満足していないことを知り、八恵のお尻の奥を熱くさせた。
互いに掛けている眼鏡がぶつかり合いカチカチ金属音を鳴らす。
あまり長い時間を費やすことはできない。
煙草の苦さと甘い味のするこの男の舌を、いつまでも感じていたいと思える。
坂田の舌の動きに流されながらも、八恵は坂田の舌に自分の舌を絡めながらさらに奥の奥を求めた。
坂田の口内の奥へ舌を侵入させた八恵の大胆さに、坂田は互いの唾液でベチョベチョにしながら背筋をピリピリさせ、下半身に熱を溜めていった。
「ん・・あ、んぅ・・・・はぁ、はっ、ん・・ちゅ・・・んくっ・・・・っ」
坂田の興奮を強く太ももに押しつけられ、あまりにも恥ずかしさで顔から内股にかけ汗が大量に流れてきそうだった。
逃げ腰になり浮くお尻を坂田の大きな掌がガッシリ掴みヤワヤワ揉み下れ、思わず変な声で啼いてしまう。
秘かに、八恵は坂田のもう一つの熱を求めていく。
口腔の奥のさらに奥へ、互いの熱情で蕩ける意識をなんとか保ち、本当に欲しいモノを求め。
昂ぶっていく心と八重の肢体が充たされていく。
ようやく喉の渇きが潤う。
もっと欲しくなる。もっと、もっと、もっと、もっと、もっともっともっともっと・・・・・・・・・――
欲しい。
この男が、欲しい。
すべてが欲しくてたまらない。
喉が渇く。充たされる。また渇く。また欲しくなる。この男が欲しくなる。恋しくなる。充たされたい。愛されたい。
求められたい。
欲望が増えていく。
充たされれば、充たされるほど。この男を愛せば愛するほどに。
昔の昔、古代から現代へ繋がってきた餓えと慾が、眠りから覚ましていく感覚に八恵は支配されそうになる。
引換えに人の感覚を失っていきそうになるこの瞬間が、人生の中で一番嫌いな瞬間だった。
――キーンコーン、カーンコーン・・・・
鐘の音が現実を呼び戻した。
他の多くの生徒たちがこれから登校してくるのだろう。
坂田と八恵は静かに唇を離した。
舌に絡んだ唾液が糸を引き、八恵の口唇を濡らす光景に坂田は再びしゃぶりつきたくなる衝動に駆られる。
交し合っていた熱が遠ざかっていき、心を寂しくも切なくもするが八恵は鐘の音に少しだけ感謝した。
坂田の表情が見れなくて、八恵は息が整うまでそのまま坂田に抱きしめられた。
「せんせぇ・・・もう・・・」
「・・・ん。もうちょっとだけ」
離れがたくて、八重の身体を手放せないでいる他に八恵は知っている。
その証拠に、唇を離した瞬間坂田の身体がぐらりと傾きかけた。八恵は坂田に抱きしめられながらも、心の中で罪悪感に苛まれる。
本人は夏バテだろうと思っているのがせめてもの救いだった。
いつもまでも放したがらない坂田に苦笑し、八恵は熱く蒸気した真っ赤な頬のまま微笑みを向け坂田の背中に回していた手を外した。
坂田はそんな八恵の殊勝な態度に少し不満そうに見つめていたが、やがてため息を零し八恵の唇に軽く口づけると八恵から離れた。
「・・・続きはまた夜な」
熱く低い声で囁くことも忘れない。
八恵はとたんに羞恥心が沸き起こり、囁かれた耳を真っ赤に染め俯くことしかできなかった。
明日も学校があるが、どうやら自宅からではなく恋人の家から登校することになるようだ。
そんな思いが脳内に掠めると、ますます顔を上げられない。
先ほどまで一回りも上の大の男が我を忘れ夢中にさせていた艶やかな恋人が、今は年相応の、否もともとの初心な性格を表している八恵の照れて困った顔に満足した坂田は、機嫌良さげに教員用の玄関口へと歩いて行った。
残された八恵は、熱い頬と耳に手を当てた。
このまま教室へ向かうには、色々危ないような気がした。
緑色に生えわたる木々や雑草を歩き、遠回りしながらゆっくり昇降口へと歩く。
恋人との熱い口づけで得たのは、恋人との愛や快楽だけではない。
おかげで喉の渇きが潤った。
けれど――――八恵の心は晴れない。
坂田と交わす口づけは八重を夢中にもさせ、秘密を増やしていく。
「・・・姉上」
「あら、パチ恵ちゃん。ちょうど良かったわ、貴方もどう?暑いから喉が渇いてるでしょ」
角を曲がった裏に、八恵の姉の妙がいつもの優しい笑顔で八恵の体調を気遣った。
妙の他にもう一人居るが、女子生徒は壁にもたれ掛かり下に俯いたまま身動き一つしない。
日に焼けないていない首には、まだ真新しい二つの噛み跡と赤い血が滴る。
「味はいまいちだけど、他のコと比べたらまぁまぁってところかしらね」
妙は味にうるさく滅多に褒めない。その妙にしてみれば、最上級とは言えずともなかなかの褒め言葉である。
八恵は妙が差し出した女子生徒を見下ろす。
憐れむ気持ちも、恐怖心にも、下げずむ気持ちも湧いてこない。
ただ、妙に褒められた女子生徒を羨ましく思う。どうか、その清い身体と血を大切にして欲しい。
「ありがとうございます姉上。でも私は大丈夫です」
女子生徒の首の噛み跡から滴る赤い血、小さな赤い滴がまるであの人の紅い瞳のようだった。
そうやって見てしまうと、思わず喉が鳴るが食指が動かない。
渇きが充たされているのもそうだが、八恵の好みが幼い頃と違ってしまったからだ。
「・・・そう、残念ね。パチ恵ちゃんはもう十分お腹が一杯みたいね」
くすっと笑われ、頬が熱くなる。
妙に言い当てられた意味が、八恵を居心地悪くさせキョロキョロ瞳をうろつかせた。
「そんなにいいかしら?あんな肺の中が真っ黒で、メタボと糖尿へ真っしぐらな男の血なんて」
「姉上、まだ糖尿にはなってません。予備軍です」
妙にそうツッコミをいれるが、言いたい事は分かる。
一般的な見聞の知識どおり清い処女の血を好む己達が、三十路まじかで甘党で授業中でも構わず煙草を吹かす男の血なんて、マックやチキンや外食ばかり偏った栄養分を摂取してばかりの女子高生や女性達の血と同じくらい美味しい筈が無い。
けれど八恵は、そんな男の血を好んでいた。
「“愛”かしらね・・・」
「・・・・・。」
そう言われてしまったら、もう何も言えない。
八恵はただただ、顔を赤らめるしかできなかった。
愛で選んだ男の血――それだけで済むのなら、八恵の秘密は今よりももっと軽かった筈だ。
「あの男に何かあれば、パチ恵ちゃん。分かってるわよね?」
「・・・はい」
八恵を見つめる妙の表情は曇り、けれど瞳の色は黄金色に怪しく光る。
妖と人との間の命を持つ己らの他に、同じ種を持つ者の存在は知らない。
風の話には聞くが、姿形はもはや都市伝説であった。
妙に中てられ、眼鏡のレンズの奥深くは黄金色に美しく輝く。
けれど、そこに在るのは儚げな八恵の姿だけ。
妙と八恵の違いは―――
「まぁ、いいわ。もしもあの男を喰いたくなったら、いつでもいいなさい。その前に私が先に肝を踏み潰してあげる」
黄金色は薄暗い赤茶色へ、八恵よりも制服のスカートが短い妙は優雅に踵を返す。
妙なりの言葉だが、ヤる時とは本気でヤる姉であることも八恵はよく知っているのでいつもの困った笑顔を向 けるしかできなかった。
壁にもたれ掛かったままの女子生徒は、このまま数刻もすれば目を覚ます。
欠け落ちた記憶を疑問にも思わないまま、再び日常へ帰る。
けれど一度、妙のお手付きが係ってしまえばこの女子生徒は、平穏な日常の合間に妙の食事として身体を捧げるしか道が無い。
指を数えるしか逃げ道のない法は、処女を失うか、その体内の血を汚すか、命そのものを絶つか。
中には処女を失おうともその血が清いままの者もいる。
それはとてつもないこの世の美食を一度に味わえる極上の血であると聞くが、滅多に存在しないので、八恵は未だにその者の血を味わったことは無い。
味わうどころか、八恵はその極上の血が今目の前に現れたとしても食指が動くことはないだろう。
それこそが、妙と八恵の違い。
食として血を求める妙と、愛を求め血を欲する八恵。
「先生・・・・」
こんな時、逢いたくて堪らなくなる。
あの男の血が欲しくなる。
血じゃなくても構わない。先程のように唇を伝って、あの男に流れる血よりも奥の奥を吸いたい。
それほどに、八恵は――――
「先生・・・・・」
八恵は坂田銀八と出逢い、恋に堕ち、愛を深め合う。
そして、八恵は愛を知れば知るほどに、感じれば感じるほどに血を欲するようになった。
食事としてでなく、愛を求め血を欲する。
他の血など要らない、あの男の血だけが欲しいと欲する。
それ故、八恵は他の血を喉に流し込むことができなくなってしまった。
このままでは、八恵は絶え切れなくなりそうだった。
愛を知り感じ合うごとに、八恵の中で少しずつ墜落していく。
人としての精神が崩壊してしまえば、残るのは妖のみ。
それでも八恵はあの男と出逢ってしまった。
喉の餓えを覚えてしまう恋に堕ちてしまった。
――そして、また喉が渇く。
※ ※
>>postman お題より
坂田の愛を求め坂田の血だけしか吸えないパチ恵ちゃん
坂田と妹の恋路が心配でしょうがない姉上
生徒であり恋人である可愛いあの娘との逢瀬に頭が一杯な坂田先生
この恋がもしも破滅した時、真っ先に壊れるのは誰でしょう。
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