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セルロイドの彼 2

現代学生パロ土(トッシー)パチ兄妹設定
土方(トッシー)と沖田とパチ恵











※       ※

「今日も異常なしっと」
 
 真選高校生徒会執行部の仕事は、学校の愛と平和を守ることである。
 そのための一つが校内の見回りだ。
 今日も不審な点がないか、怪しい者がいないか。もしもおかしな事があれば即効に事件解決もしくは排除。
 それで学校の平和が保たれるのであれば、多少の被害は止む終えない。
 そんな武装組織生徒会執行部を恐れた生徒たちは尊敬と畏怖を込めて、通称“真選組”という渾名をつけた。

 まったく可笑しな話だ。
 自分たちはただ生徒達が安心して学校を過ごせるよう動いているだけというのに。

 そんな分かり合えない境界線というものに一抹の寂しさを覚えつつ、鬼の副委員長と称される土方十四郎は1年Z組の教室で「土方八恵」の札がついたロッカーの中を点検していた。
 ロッカーの中は持ち主の性格を表しているかのように綺麗に整頓されていて、昨日の記憶を辿れば何一つ異常な点が見つからないままである。
 心なしか持ち主と同じ石鹸の香りがしているようなしていないような・・・
「ごちゃごちゃ御託はいいんで、ようはアンタ妹に変な虫がついてないかチェックしてるシスコン変態兄貴なだけじゃねーですかぃ」
「うるせーぞ総悟」
「職権乱用もいいとこでさぁ」
 厭きれながら土方の後ろをついてくる妹と同じクラスの沖田は、鬼の副委員長が極度のシスコンだと知っているだけにその行動には慣れているが気持ちは分かり合いたくないと思っている。
「だってマジきもいですぜぃ死ね土方このヤロー。パチ恵に知られたらどうするんですかぃ?お兄ちゃんきもーい!しばらく私に話しかけないで!って言われちまいますよ」
「んだとてめーが死ね!俺がそんなヘマするかよ。パチ恵は俺がどれだけてめぇを心配しているか分かってくれているさ・・・」
「ああ、そうですね。土方さんがどれだけきもい変態兄貴かパチ恵はよく分かってくれてますよ」 
「総悟てめーいいかげんにしろよ。てめーだって姉貴(ミツバ)の前じゃキャラ違うの知ってんだぞ」
 そんな毎日の掛け合いをしながら、次へ向かうのは下駄箱である。
 昔から下駄箱はロッカーの次に要注意が必要な危険区域であった。
 気になるあの娘へ直接告げられない想いを手紙にしたため、あの娘の下駄箱へそっと忍ばせる。
 直接云えないからこそこの告白方法は古今東西、遥か古より伝わる恋愛必勝方法の一つである。
 だが、土方にしてみればそんな行動ですら邪道だと思っていた。
「日本男子たるもの、そんな少女漫画の乙女みたいなことしてねーで直接当たって砕けろってもんだ。そうだろ総悟」
「少女漫画の乙女みたいな脳みそはアンタのほうですぜぇ土方さん。今時そんな告り方してる奴がいるんなら見てみたいぜ、なぁパチ恵」
「ええそうですね、沖田さん」
 聞きなれた声に振り向けば、そこに立っていたのは愛する妹の姿であった。
 微笑を浮べてはいるが、背後には鬼も震え上がらせる般若が見える。
「パ・・・・パチ恵・・・・・・・殿」
「何をしているんですかトシ兄さん?」
 微笑がますます深くなる妹の姿は、もう一人の妹妙によく似てきた。
 姉妹揃って美人だな、ますます警備を改めなければと頭の隅でそんな逃避行的なことを思いつつ、怒りで頬を赤い林檎のようにプクゥと真っ赤に染め、上目遣いに潤んだ瞳で真っ直ぐ見上げてくる姿にもう・・・もうっ・・・

萌えェェェでござるゥゥゥゥ!!! 
都合の良い時だけトッシーに戻んなァァ馬鹿兄貴ィィィィ!!! 」 


 必殺鼻フックデストロイヤーを受けながらもどこか嬉しそうなトッシー<鬼の副委員長土方>の姿に、先が思いやられまさぁと呟いた沖田だった。

   








※       ※
>>Dear you  お題
書いたはいいけどUPするのをためらってました。
今更だけど土方さん色々すみませんでした(DOGEZA)
個人的には楽しいシリーズです。ずっと前に他サイトマスター様とこで見かけた二人にすごく萌えたのを覚えてます。勝手にすみません。
パチ恵ちゃんにはちゃんと坂田君という彼氏ができます。

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