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みんな学生設定
土方とパチ恵と銀時 土←パチ要素あり
※ ※
「志村わりぃ、これ持っててくれ」
「えっあ・・・はいっ!」
野球部のグランドのベンチで控えていた土方は、隣に座っていたパチ恵に飲みかけのスポーツドリンクを渡すとグランドに駆けていった。
すぐに部員達の指導に回っている野球部のエースの姿を見つめたパチ恵は、悩ましげに頬を可憐に染め溜息をついた。
普段冷静な彼が実はとても熱い心を隠し持っていることをパチ恵は知っている。
エースの座を狙う沖田とそれを阻止する土方との傍迷惑な攻防でも土方の汚れたユニホームの背中が眩しく光って見えるのは、はたして恋に憧れ恋に夢見る乙女の幻想であろう。
胸のトキメキをおさえ、パチ恵は土方に渡されたスポーツドリンクを見下ろした。
マヨラーな土方がマヨネーズ以外でよく愛用しているスポーツドリンクはCMなどでよく宣伝されている。
しっかりものな彼がフタを閉め忘れるなんて・・・
そんなおっちょこちょいな姿に可愛いと思ってしまうパチ恵は自然と口元に笑みを零した。
ごみが入らないように早くフタを閉めれば良いのに、何故かパチ恵はスポーツドリンクに釘付けとなったまま動けなくなった。
500mlのペットボトルの中身は途中まで残っている。
先ほどまで彼が飲んでいたからだ。
女の子達の憧れの野球部エースのスポーツドリンクを冴えない自分が今この瞬間手にしている。
緊張のあまり震えだす両手を叱咤し、喉にたまる唾をゴクンッと飲み込む。
けっして、この飲みかけのスポーツドリンクを飲みたいとか開いているペットボトルの口に己の唇を重ねれば間接キッスになっちゃうよねっとか、そう思っているわけではない。
そんなことをすれば、ただの変態である。
彼にバレれば嫌われてしまうに違いない。
だが、こんなチャンスもう二度とないかも知れない・・・
天使と悪魔が、良心と邪心が、パチ恵の小さな胸の中で激しい攻防を繰り広げ葛藤を繰り返す。
一体どうすれば・・・
どうしよう・・・どうしよう・・・どうしよう・・・・
嗚呼っっっもうっ・・・・・・!
「いや~~~~んっ!」
「坂田先輩っっ!!」
「何勝手に変なナレーションつけてんですか!これじゃあ私ただの変態女じゃないですかっ」
「そーゆうお前こそいつの間に野球部のジャーマネ気取りですかコノヤロー。お前は野球部のじゃなくて、ウチの剣道部ジャーマネだろうが、おらっ来い!」
「あう・・・」
首根っこを捕まれ、無理やり引きずられながら連行されるパチ恵の姿はさしずめドナドナである。
しょっちゅう部活中から姿を消し、何かと野球部を覗きに行く剣道部ジャーマネことパチ恵を連れ戻すのはいつも決まって兵揃いで有名な剣道部エースの坂田先輩であった。
自称で終わらないのが余計に悔しい気持ちになるパチ恵だったが、坂田が本当に実力のある腕を持っていて数多の功績を残していっているので何も言えなくなる。
そんな彼に気に入られ、入学早々無理やり(ほぼ拉致)剣道部マネージャーにさせられた志村【本当は野球部マネージャーになりたかった】パチ恵は、なんとか坂田の腕から抜け出した。
「坂田先輩待ってくださいっ!せめて土方先輩に預かった物を返さなきゃ・・・」
「あん?めんどくせーな、そんなマヨラー菌が詰ってそうなモンそこらへんのジミーに渡しとけよ」
「・・・坂田の旦那、それって俺のことですか」
たまたま近くにいた野球部補欠部員の山崎に、パチ恵の手から横取りしたスポーツドリンクを押し付けると今度こそパチ恵の腕をひいて剣道部の道場へ歩いていった。
パチ恵は(あ・・・自分で返したかったのに)とこっそり涙した。
ションボリ落ち込む彼女は、エース同士が睨み合っていた事など知る由もない。
※ ※
>>Dear you お題より
某飲料水CMからパロってみました。
女の子と先輩のやりとりが好きです。
ちなみに野球部も剣道部もどっちも強豪です。パチ恵ちゃんは時々お手伝いに野球部へ出かけます。
基本銀新なんで最終的には銀パチでハッピーエンドになればいいと思います。
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