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ま   真っ赤な頬の不法侵入者

万事屋銀新♀












※         ※

 煌びやかなスポットライトに照らされる夜の蝶は、クリスマス強化週間ということで『カマザイル』再結集を募りかまっ娘倶楽部でショーを行われていた。
 当然、万事屋にも依頼が入り俺もパー子となって舞台に上がっている。
 稼ぎ時であるこの時期だ。
 とても有難かったが、何かを失っていっている気がしてならないのは俺の気のせいであろうか。
 このクリスマス強化週間だけ、股にぶら下がっている男のプライドは忘れることにした。
 
 気持ちの悪いオカマどもに混じった気持ちの悪い俺を、呆れた顔で見つめる新と神楽の視線が痛かった。
 かまっ娘倶楽部で働けない神楽は客席でジュースをガブ飲み、新はバーテンダー服に身を包み飲み物を運んだり接客にまわっている。
 細っこい新に黒いバーテンダー服なんて、ストイックな雰囲気を醸し出していて。
 その手の店だと勘違いするスケベな親父どもに、何度かセクハラされそうになるがそのたんびに此処のママによって成敗され、さらに俺と神楽からトドメを指されるという無限ループが成り立っているので今のところ全て未遂で終わっている。
 何度も注意し、お前はいいから座ってろって言っているのに聞きゃーしない。
「二人で働けばそれだけお給料貰えるでしょ!」だってさ。
 俺はお前を想って言ってるっていうのに。
 あーあもう。

 舞台から下りて来た俺に、新が近づき冷たいお茶を渡してくれた。
 お茶ってとこが新ぽくってなんか和むわ。
「お疲れ様です銀さん」
 あーあ可愛い笑顔ー。
「ちょっとそこのお二人、いちゃつかないでよ!他のお客様にご迷惑よ」
「るせーよアゴ美!十郎太と会えないからってやっかんでんじゃねーよ」
「アゴ美じゃないわよ!あずみよ!」     
 キー!と野太い声で吼える俺とアゴ美のやりとりに、新は楽しげにくすくす笑っている。
 新が笑ってくれんならまあいいわ。
 俺はしばし休憩を貰うことになったが、新はそのまま接客に戻ってしまった。
 まあテーブルに座らないだけマシか。
 
 しかし――――。
 そんな余裕が仇となり。

 休憩で座っていた筈の俺の膝には、真っ赤な顔で目を回している新の頭がのっていた。
 アレ?

「しかたがないヨ銀ちゃん。新ってばいつのまにかお酒のんでたから」
「しかたがないじゃねーよ、お前が新に飲ませたんだろ。お前何してくれてんの」
「だって、新に少し休んでほしかったんだモン。口で言っても聞く奴じゃないのは分かってるから、そうゆう時は行動するしかないネ!」
「行動力ありすぎんだよ。完全に空回ってんだよ」
「なんだヨー。銀ちゃんこそ新に店でてほしくなかったくせに」
 そう口を尖らせる神楽の言葉に、俺の本音を当てられたようでドキッとするしかなかった。
 まぁね、こんなお店に新みたいな娘が働いていいわけじゃないってことはよく分かってっけど。
 時々、神楽には俺の真意まで見破られているようで落ち着かない。
 しかもそのまま行動しちゃうからねこの子。
 まったく侮れないわ。

 俺は神楽の頭をぐいぐい撫で、ついでに嫌がれ、神楽がその場からひょいひょい姿を消した。
 ・・・本当、神楽様々だわ。

「・・・・んぅ・・・銀、さ、ん」
「なぁに新ちゃん」

 俺は新に答えたが、新からはその返事がなかった。
 まさかの寝言だよオイ。
 俺はついつい、深い溜息を吐いてしまった。

 男の固い膝枕に魘されているのか、新は少し寝心地悪そうにしていた。
 真っ赤に染まった柔らかな頬に手をあて優しくさすってやると、心地少し表情が軽くなった気がする。
 新の真っ赤に染まった頬と俺のと、どちらが熱いか分かりゃしねー。


 あーあ、ほんと可愛くてパー子やんなっちゃうわ―――。
  













※       ※
>>postman お題より
寝顔さえも可愛くてたまらない。

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