[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
万事屋銀新♀ 坂田家
※ ※
『この気持ちをバレンタインチョコに込めて、あの人へ届けっこんはまだ早いから一人目のキープ君は君に決めた!』
TV見ながら食卓を囲うご家庭は、どこにでもある姿であるけれど。
思春期の娘を二人も抱える我が家にとって、ちょっと敏感になってしまう今のCM――もとい、ザ・バレンタイン。
所詮チョコ会社が金儲けする為の日である。
所詮花より団子なウチの娘たちには今のところ縁のない日である。
しかし―――。
「・・・銀さんどうかしたんですか?」
嗚呼しかし―――。
何故、お前らはそんな熱心に今のCMを真剣な目で見つめていたのか。
「銀ちゃん汗まみれアル。熱いアルか?それとも気分悪いアルか?妊娠したアルか!?」
「神楽ちゃん妊娠するのは女性だけだからね」
「じゃあ新が銀ちゃんのベビー妊娠したアルか!?キャッホー私妹がいいネ!!」
「神楽ちゃンンンン!!?お願いだから姉上の前でそんなこと言わないでね!しかも私妊娠なんてしてないからね!!」
「・・・ちっこれだからマダオは」
あれか。
お通用語が気になったんだろ?
一人目ってことは二人目も三人目も候補作るつもりかよっていうツッコミを心の中でしてたんだろ?
そうだろ?
「そうなんだろおおおお!!?」
「「何が」」
□
そんなことがこの間あったわけだが、それ以来新と神楽の反応がきになって仕方がないわけだ。
もういい加減、テレビでバレンタインのCMとか特番とか放送すんのマジやめて欲しい。
ウチの子達に悪影響だからさマジで。
しかも実際変に気にしてんの俺だけだからね。
あの子らは普通にテレビ見て「あのチョコ美味しそうだねー」「食べてみたいアルーお口の中トロトロになってみたいアルー」っていう会話してキャッキャッしてるだけで、俺だけビクビクして痛くしてるだけだからね。
もう何なのコレ。
まるで教室内でバレンタインに誰かにチョコあげるー?みたいなウゼェ会話してる女子グループの隅っこで、聞きたくもない会話が聞こえちゃって別に俺欲しくねーし?ただお前らの声がでけーだけだし?全然気になってねーし?って感じに、チョコ貰えるわけないってのはよく分かってるんだけどやっぱり妙にソワソワ気になっちゃうクラスの男子みたいになってんじゃん!
もうイヤだ。
俺だけソワソワしてんのなんてもうイヤだ。
マジきもい。マジ俺きもい。
もうマジ考えんのメンドイくせーわ。
べっつに欲しくねーし!
渡したい男でもできたのかとか、そんなの全然まったく気になってねーし!
あいつらが俺の知らねー他所の男共にチョコ渡すつもりならそうするといいわ!
勝手に一人でも二人でも三人でもキープ君増やしてくるがいいわ――!
□
「・・・で、なんでそこで自己逃避しちゃうんですか」
「悪いねぇ新ちゃん、銀さん迎えに来てもらっちゃって」
「とんでもないです!こちらこそ、ウチの銀さんがご迷惑おかけして申し訳ありません親父さん」
「あっはっは!しっかりした娘だね!ほら銀さん、新ちゃん来たよ。もう起きな」
「銀さん!ほらしっかりしてください!もーしょうがないなー。よいしょっと・・・」
「おやおや大丈夫かい?」
うう~なんか身体無理やり動かされてちょっと気持ち悪いんですけど――
新の声と匂いがすんなー
あー落ち着くー俺この匂いすきー
「大丈夫ですよ。私だって銀さん一人背負えますから」
いや、足引きずってんだけど。
よろめく新のちっこい身体と背中に背負われた情けない大人の俺に、新は酒臭いだの重いだのブツブツ文句言いながらも俺を最後まで離さなかった。
この新が俺以外の男にチョコ渡すかもしれない日が来るだんて。
新のぬくもりが酒で弱くした俺の心に沁みる。
「新ちゃ~~~ん」
「はいはい」
「新ちゃ~んあのね~~~銀さんねえ~~~・・・」
そのままドロップアウトした。
言いたいことだけ吐きまくって。
この時半分意識のはっきりしてなかった俺は、浮ついた脳内で考えるまでもないまま吐いた言葉に、次の日俺を後悔と羞恥心で頭を抱えることになるだんて考えもしない。
なのに、悩みの種だったモノの到着地点が俺だった時の俺の反応は、頭を抱えるどころか顔全体を覆わねばならなくなるほど顔から火が出そうになる思いをすることになった。
「・・・俺何人目のキープ君?」
「アホ言ってないで受け取ってくださいよ。神楽ちゃんとの手作りなんですからね!」
「銀ちゃーん!ハッピーバレンタインおめでとーアルー!」
―――神楽、ソレちょっと違う。
俺が一体何を言ったのかって?
んなもん、言えるか!
※ ※
>>postman お題より
可愛い娘たちの愛に鼻血を吹けばいいさ
≪ れ 礼返しは君次第 | | HOME | | と 友達の枠を3歩ほど飛び越えたいと思います ≫ |