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ハローハロー、届いてますか

銀パチと沖田












※           ※



 Frm  ドSバカ
 Sd   (non title)  
 


 どこにいる?







「・・・・・・・」

 寝そべりながらケータイを覗く黒い瞳は、暗い部屋の中ケータイ画面の明るい光に照らされキラキラ星空のように輝いていた。
 メガネを外していることと、浅い寝起きな為に脳がぼんやりとしか働かず画面の光がただ眩しかった。
 暖かな布団に包まっていたせいでサラサラの長い黒髪はぐしゃぐしゃになり、少女の顔の半分を隠してしまっている。
 柔らかな肢体の背中を覆う暖かな人肌の主はすっかり深い眠りについているので、あまり身動きできなかった。
 起こさないよう指だけを動かしながら、返信する。





 To   ドSバカ
 Sd   Re :              



 彼氏のとこ






 Frm  ドSバカ
 Sd   Re : Re :              
 


 おまえのねーちゃんにチクんぞ




 
 To   ドSバカ
 Sd   Re : Re : Re :            



 すぐに帰ります!




 
「はぁ・・・・・」

 けだるい裸体に言い聞かせ、ゆっくり起きる。
 音程の良い寝息をかいていた筈の腕が力を入れ、少女を再びベットに引き戻そうとするがなんとか抜け出した。
 
「・・・んぅ」

 離れているぬくもりを探すように彷徨う腕にくすりと笑う。
 瞼は未だに閉じたまま。
 少し寝苦しそうにしているのは、今にも目覚めそうだからだ。
 冷えた白いシーツに座ったお尻から体温が逃げていきそうだったが、この感覚が実は嫌ではない。
 この男とのセックスの時でないと、味わえない感覚だからだ。

 けれど、熱い熱い情事後のこの空気にはまったく馴染めそうになかった。
 隣で寝そべっている男の鍛え抜かれた逞しい身体と、普段よく見る伊達メガネに白衣姿両方を脳内で照らし合わせて見ると、少女にはいやらしく見えた。
 思わず吐息を零す仕草だけは色を含んだ女の仕草で、こんな姿だけはとても実姉にもドSバカにも見せられない。
 唇にそっとキスをおしつけた。
 身体中に散ばった朱色はなるべく直視せずに、小さく揺れる乳房を左腕で隠しながらベット下に放置されていたショーツやブラジャーやセーラー服などを抱えると浴室に向かった。
 裸のまま部屋の中をうろつくことに羞恥するが、今は誰も見ていないのでまぁいいかと思う。

 すぐに帰ると返信してしまったけれど、せめて身体中に染み渡った煙草の匂いだけは消しておかなければ為らない。 
 教室で嗅ぎ慣れた匂いとまったく同じだったからだ―――。






 少女のアリバイ工作に加担している少年は、少女の帰宅時間に合わせ遅い夜道の帰途についていた。
 慌てて打ったであろうことがたった一句から滲み出ているので、おそらくは自分が家に帰る頃には丁度良いはずだ。
「・・・なぁにが彼氏のとこでぃ」
 アイツの貞操観念は見かけによらずこんなに低いモノだったのかと心底呆れた。
 これで少女の姉にバレようものなら、共犯である己もドラム缶に生コンクリート諸共詰められ海の底である。
 恐ろしい未来に身震いした。
 自宅近くに差し掛かった時、バイクのエンジン音が聞こえた。
 丁度これから自分が通る道の先からだったので、もしかしたら少女が彼氏に送られてきたのかもしれない。

     
 曲がり道に差し掛かった時だった―――。
 

 見慣れた芋お下げ結われた丸い黒髪の頭が見えた。
 その頭と背中を抱きしめる男の腕と姿があった。
 銀髪の男の顔が少女の顔を覆い、ピッタリくっついているように後ろからは見えた。

 ―――どこか、頭の芯が冷えていく感覚になった。
 
 顔の位置を変えられ相手の唇が重ねあっているのが、はっきりと見えた。
 他人のキス顔なんて、ドラマや映画とかでしか見たことがない。
 よく見知っている人物なくせに、しかも男の方はよく教壇の前に立っているくせに、目の前の二人は見知らぬ男女の恋人同士に見えただ立ちつくした。
 
  
 しばらくの間、互いの抱擁を感じあいそして別れを惜しむその姿に自分の存在がばれぬ様、思わず電柱の影に隠れてしまった。
 己の目の前を通り過ぎていく白い原付バイクと銀髪頭など、見たくはなかったなと苦虫を齧るように一人ごちる。

「・・・あれ?総悟、今帰りだったんだ」
「よお、ダメガネ。一体誰のお陰で彼氏とあはんうふんできてると思ってるんでぃ。敬えこのヤロー」
「毎度お世話になってます沖田様ァァァ!!」
 蹴りを入れてやるとすぐに身体を90度直角に折り曲げ御礼を叫ぶ。
 調子の良いのか潔いのか。
 いつもの顔に少し安堵しているなんてことなど、絶対に言えない。

 並んで歩いていると隣から漂ってくる真新しい石鹸の香りに反応し、秘かに身体が熱くなった。
 ほのかに膨らむ二つの胸に、あの男は吸い付いたのだろうか。
 そんな下世話な妄想をしてしまった。


「総悟、メールありがとね」

 可愛らしい少女の笑顔の裏で、えっち中はどんな顔をするのだろう。
 
「・・・どーいたしまして」

 人の心が他人に届かなくって、本当に良かったと少年は毒吐いた。
 あーアホらし。
 
  
 












※         ※
>>postman お題より
パチ恵ちゃんに「彼氏」って呼ばせたかっただけ
青い春中の少年と女になっちゃった幼馴染の少女

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