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現代学生パロ土(トッシー)パチ兄妹設定
従兄の高杉くん
他【セルロイドの彼】 【セルロイドの彼 2】
※ ※
久しぶりに訪れた町は変わりなく、懐かしさが胸によみがえった。
記憶に残る道を歩きながら、従弟妹達のことを思う。
昔は自分を交えた4人でよくはっちゃけたものだった。
十四郎は今は高校の委員活動で副委員長をしていると聞く。幼いころから喧嘩っ早い従弟だったが、誰よりも人一倍正義感の強い奴だったので、きっと、高校の委員活動にも積極的に取り組み他の生徒たちの頼もしいリーダーとなっているに違いない。
妙は昔から容姿端麗の従妹だった。あれから数年が経っているので、きっとあの頃よりもますます綺麗になっているだろう。そう思うと、心なしか期待に胸が膨らむが性格が若干難ありの娘ではあったので、最近できたストーカー男の被害が心配である。この心配というのは妙の方じゃなく、ストーカーの方がであるが、これは再会しても黙っていよう。
そして、一番会いたかったもう一人の従妹の八恵。
昔は泣き虫で自分の背に隠れてはオドオドしていた愛しい妹。
数年前に視力が低下したために今は地味なメガネをかけていると聞いたが、それでも八恵の生まれながらに持つ愛らしさは今も変わっていないだろう。
従弟妹たちへのお土産が入ったたくさんの紙袋、この中にはお盆がお誕生日である八恵へのプレゼントも入っていた。
昔、お盆はみんな休みで友達にも会えない、お誕生日らしくないと泣いていた八恵。それを思い出したのはつい数か月前に見た夢からだった。
これはもしかしたら、今すぐ八恵に会いに行け――!という神の啓示なのかもしれない。そこまで考えれば、あとはもう動くのみだ。
プレゼントもちゃんと用意した。年頃の八恵が喜んでくれるかどうか不安だが、きっと似合うものを部下の女に相談しながら選んだ。「きっと大喜びっすよ!晋介様!」と太鼓判を押されたのできっと大丈夫な筈だ。
忙しい日々の間に、ようやくもぎ取ったお盆休みだ。
この日をどれだけ楽しみにしていたことか。
両手でたくさんの重たい紙袋たちを持ち直し、また一歩足を踏み出す。
逸る気持ちを抑え、懐かしい道を歩きながら角を曲がった――――そこに、見覚えのある少女がいた。
高校の制服に身を包むその背中はもう立派なお姉さんという印象で、記憶の中ではいつまでも変わらない幼い従妹だった分長い年月が一気に胸に押し寄せて寂しくなった。
それでも丸い黒い頭に地味な三つ編みの芋っぽさは変わらず、横顔から垣間見れる笑顔はあの頃からまったく変わっていない。
嬉しくて、たまらなくて・・・声を掛けようとした、が。
どうにも、そういった雰囲気でないことに気づく。
八恵は嬉しそうに頬を可憐な紅色に染め、笑顔を向けている――えっ、誰に?
小柄な彼女に対して隣に佇む人物の方が背が高いらしく、顔の位置を斜め上に向けている。
相手の出で立ちはTシャツにジーンズというどこにでもいる服装であったが、一番先に目を惹くのがその銀髪頭の天パであった。珍しい髪の色に一瞬(えっヤンキー?ナンパ!?)と焦ったが、雰囲気からそうではないっぽいと判断した。
背格好は案外スタイルが良く、足も長いし、無駄な贅肉の無い筋肉がしっかりついた男なら誰だってお手本にしたい身体づくりをしている。
どこか気だるげに見える為にナンパだと勘違いしてしまったのは、どうやら男の方が八恵の為にその高身長な背中を低く傾けているという事が離れた位置からでもそう見えた。
ここからでは男の顔が見えず、非常に残念だったがきっと、おそらく・・・いやいやそんな都合の良いことなんてあるはずがない。きっとあれだ。顔だけ残念とか。うっはっ!それ笑える!チョー笑える!それなら許せる!いや、やっぱ許さないけど、許しちゃうかも!なーんつって・・・って、アレ?ちょっと顔見えちゃったんだけど・・・そんな・・・・・バカな・・・・・・っ!!!
もう正直に言おう・・・イケてる男だ。略して『イケメン』。イケメンパラダイスだった。
いやそんなことはどうでもいい。いややっぱどうでもよくない。世界中のイケメンなんて爆発しろ。今すぐ爆発しろ。
ならば、なんなんだ。一体全体これはなんなのだ。なんであんなに親しげなんだ!?あの男は一体何者なんだあああああああああ!!!?!
それからすぐだった。
電柱の陰で葛藤していると、八恵とイケメン(殺)はいつの間にか会話を終えたらしい。
真っ白なスクーターに跨ったイケメン(殺)は、八恵に手を緩く振っている。車種はベスパだ。流石はイケメン(殺)、バイクまでイケてるなんてますます爆発しろ。
一方の八恵の様子は少し様子がおかしかった。
いかにもムリして笑っていて、その顔にしっかり書いてあった。『はなれるが寂しい』、と。
こんな表情、どんな男だって、いや男も女もこんな顔されたらもう堪らない気持ちになるだろう。
現に今、離れた位置にいる此処までその顔の意味も胸をキュンキュン締め付けられるのだ。
当然、一番傍にいるあのイケメン(殺)だって一発で気づき、意味を分かってくれるに違いない。だって、イケメンだもの。(殺)だもん。イケメンなんてry
そう、やっぱりあのイケメン(殺)は気づいた。
そして、おもむろに八恵の丸い頭に手を置くと胸に引き寄せた。二つの影が一つになりそのまま、二人は完全に二人だけの世界だった。
よく電車のホームの柱の陰で見かけるような、あんな感じだ。
(えっ・・・・ちょっ・・・・な、なにやってんの?あそこの二人・・・つーか、あのイケメン(殺)は何してくれちゃってんの?俺の可愛い八恵に何してくれちゃってんのぉぉぉぉぉぉおおおお!!!??!!)
そう叫びたかったが、声が出なかった。
人はショックのあまり声が出なくなることを今知った。
真っ白になった脳裏には、幼い八恵の姿が蘇った。
『晋介兄ちゃん!』
舌っ足らずにそういつも呼び、慕ってくれていた従妹の可愛い愛しい姿。
どれぐらいそうしていただろう。
記憶が完全に飛んでいた。時間が分からない。
「・・・おい、おい、ちょっとあんた!そこで何してん・・・ってアレ?兄貴じゃねーか」
「そういえば、その片目だけを眼帯で隠した厨二臭いファッションセンスは高杉の兄貴じゃねーですかぃ。いやー懐かしい、俺を覚えておりやすかぃ?このマヨラーの兄貴分の沖田総悟でさぁ」
「誰がてめーの舎弟だ、つーか何気に酷いぞお前」
「おお・・・十四郎に総悟か。久しぶりだなてめーら」
「ああ久しぶり。いつこっちに来たんだよ?連絡くれりゃあ、妙とパチ恵連れて迎えにいったのに」
「そうそう、兄貴からも一言云ってやってくれやせんか?いいかげん、パチ恵のケツ追っかけんのマジキモい死ねシスコンヤローって」
「てめーが死ねぇぇぇ!だいたい俺は、パチ恵が心配なだけだ。アイツはどうにも流されやすいトコがあるからな。ちゃんと傍で目を光らせてないとすぐに変なヤローにコロっと・・」
「誰が流されやすいですって?」
「っ!!?パ、パチ恵・・・いや、そのー、あっそうそう久しぶりに兄貴が来てるぞ!」
「えっ本当に晋介兄ちゃん!?わぁ!お久しぶりですっお元気でしたか?」
「お・・おお。久しぶりだな八恵、そーゆうところはまったく変わってねーみたいだなぁ」
「ええ~?そーかなぁ、自分じゃ成長してるつもりだったのにぃ・・・って、晋介兄ちゃん?どうしたの?」
「・・・・ああ、成長したな。少し見ない間に、いつの間にか綺麗になったぁ」
「「!?」」
「ほう、これは意外な敵が現れやしたねぇ土方さん」
「バ、バカかてめーは。べ、別に兄貴はそんな意味で言ったわけじゃ、なっ!そうだろ兄貴・・・っておいっ!?」
「ええぇ!?本当にどうしちゃったの晋介兄ちゃん!?お腹でも痛いの?」
「泣ーかせた泣ーかせたーマヨラー土方が泣ーかせたーせーんせいに言ってやろー」
このまま終わる
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>>postman お題より
今回トッシーは出てないですね
兄貴と呼んでほしかっただけ。
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